「会社を辞めたいと思っても、会社が辞めさせてくれない…」
そんな時の相談先について、この記事で解説していきます。
「辞めさせてくれない」といっても、様々な事例があります。
「今辞められたら困る、辞めないでくれ」と引き止められる場合もあるでしょう。
「逃げるのか?つらい事から逃げたら、次の職場でもまた同じだぞ!」と、上司からお説教をされるケースもあります。
なかには、「辞められると会社に損害が出るから、損害賠償を請求する」と、裁判をちらつかせて脅迫するブラック企業もあるようです。
様々なケースがありますが、「会社を辞めさせてくれない」場合、どこに相談したら良いのでしょうか?
本当に力になってくれる、退職を手助けしてくれる相談先はどこでしょうか?
そうした現実的な解決に役立つ相談先を、ご紹介していきます。
自由に辞める権利はある!辞めさせない会社は違法?ブラック企業?
まず気になるのは、「辞めさせてくれない会社」に対して、相手の言いなりになるしかないのか、退職を諦めるしかないのか…という点です。
これについては、心配ありません。
なぜなら、私たちには「自由に辞める権利」があるからです。
「就業規則が」「損害賠償が」など、何を言われても“辞める権利”のほうが強い
辞めさせない会社側の言い分はいろいろありますが、「就業規則」や「雇用契約」を持ち出してくる会社も多いでしょう。また、「今辞められたら損害が出るから」といって、損害賠償請求をちらつかせる会社もあります。
就業規則、雇用契約、そして損害賠償…こんな風に言われると、まるで会社側の言い分が正しいように思えてしまいますよね。
「辞めようとしている自分が悪いのではないか」
「辞めるのは自分勝手で無責任なのではないか」
…と、自分を疑ってしまう方もいるでしょう。
ですが実は、“自由に辞める権利”は、私たちが誰もが持つ、非常に強力な「基本的人権」の一つ=職業選択の自由だと解釈されます。
そして、この「職業選択の自由」は、日本国憲法(第22条)や、国連の世界人権宣言(第23条1項)などで、明確に保障されている権利です。憲法や国連の宣言は、いち企業の就業規則や雇用契約よりも、圧倒的に強い効力を持っています。
つまり、私たちの「仕事を自由に選ぶ=自由に辞める権利」は、会社が何を言おうとも、決して侵害が許されるものではない、非常に強力な権利だと言えます。
会社が辞めさせてくれない…公的機関の相談窓口
さて、私たちの「会社を辞めたい」「バイトを辞めたい」という気持ちが、どれほど尊重されているのか、こうして確認することができました。
それでは、話を現実的なレベルに落とし込んでいきましょう。
具体的に「会社を辞めたい」「バイトを辞めたい」と思った時、どこに相談すれば良いのでしょうか?
まずは、主な公的機関の相談窓口を並べてみたいと思います。
厚生労働省 総合労働相談コーナー | 厚生労働省の総合労働相談窓口です。各自治体に相談窓口が設置されています。 |
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労働基準監督署(各地) | 厚生労働省の所管する、各地の労働局・労働基準監督署の窓口となります。各自治体に設置されています。 ・東京労働局:労働基準監督署 ・大阪労働局:労働基準監督署管轄地域と所在地一覧 ※ほか、各地に窓口あり |
法テラス(労働) | 国の設置した、法律問題の総合相談窓口です。退職など、労働トラブルについても相談できます。 |
それでは、こうした公的機関の窓口に相談すれば、本当に会社を辞められるのでしょうか?
公的機関に相談=すぐ退職できるとは限らない
「公的機関の相談窓口」というと、信頼感や頼もしさがあります。ですが、実際に円満退職につながるか…と考えると、実はハッキリとそうとは言い切れません。
少なくともアドバイスはもらえますが、具体的に何かをしてもらえるか…というと、期待できない場合も多いでしょう。
また、「相談したら、裁判を起こすしかないと言われた」など、適切ではないアドバイスをもらって、かえって混乱してしまった人もいるようです。
公的機関は、本当に“相談だけ”なら信頼できますが、具体的な退職のためのアクションを…となると、いろいろと難しさもあるようです。
どこに相談すればいい?会社が辞めさせてくれない時の頼れる相談窓口
「退職のために、具体的に力を貸してほしい」
「自分と会社の間に入って、退職の話をまとめてほしい」
「有休消化や退職金などを取ってきてほしい」
「自分は会社に対して強気に出れないので、代わりに強気の交渉をしてほしい」
こうした具体的な希望がある場合、“退職代行会社”を利用したほうが、話が現実的に進むでしょう。というのも、退職代行業者は、まさにこうした希望を叶えるためのサービスだからです。
退職代行業者とは?よくあるQ&A
退職代行業者については、まだよくご存じない方も多いと思います。
どんな業者なのか、何ができるのか…等、要点をQ&Aにまとめてみました。
- 退職代行業者とは?
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本人と会社の間に入り、本人に代わって退職手続きを行うサービスです。
「自分の言うことを、会社がまったく聞き入れてくれない」
「自分では会社に強気に出られない」
「辞めようとすると脅されてしまう」…など、会社を辞めたくても辞められない場合にも、退職代行が頼れるサービスとなります。
- 本当に退職できるの?
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優良な退職代行業者に頼めば、ほぼ確実に退職できるでしょう。
そもそも、“退職する自由”があるため、退職できない…という事は原則としてありえません。
- 退職代行には、どんなメリットがあるの?
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「会社に行かなくて良い」「自分で職場と直接やり取りしないで済む」のも大きなメリットです。
また、業者によって違いがありますが、・即日退職も可能
・退職後のアフターケアも完備
・弁護士と提携し、法的トラブルも万全の回避…など、退職代行業者ごとの特徴や、ほかには無いメリットもあります。
- 退職代行業者を利用して、裁判に訴えられない?
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訴えられることは、まずありません。
退職する自由(職業選択の自由)は、私たちの持つ、とても強力な権利です。そのため、“辞めさせない職場側”から訴えたとしても、まず職場側が負ける(あなたが勝つ)でしょう。それが分かっているので、職場側も本当に訴えることは、まずありません。
- 退職代行の費用の相場は?
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おおよそ5万円前後が相場ですが、サービス内容や業者により大きく変わります。
「退職代行会社の交渉によって、退職金や有休消化を受け取れたため、費用を払っても十分な黒字になった」…という事例も多数あるようです。
- パートやアルバイトでも利用できる?
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どんな働き方の人でも、退職代行は利用可能です。
中には、「パートやアルバイトの退職代行が得意」という業者もあります。
- おすすめの退職代行業者はどこ?
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次のページで、当サイトおすすめの退職代行業者をまとめています。
それぞれ業者ごとのメリットや得意分野も評価しているので、業者選びにもお役立ていただけます。無料相談もできるので、次のページからおすすめ退職代行業者の一覧をぜひご覧ください。
私たちの持つ「自由に辞める権利」とは
ここからは、少し補足的な解説です。
先ほども少し説明しましたが、私たちには「自由に仕事を辞める権利」があります。その権利について、解説していきます。
仕事を辞める権利=仕事を選ぶ権利(職業選択の自由)
「職場を辞める権利」とは、言い換えれば、「職場を選ぶ権利」です。
この「職場を選ぶ権利」のことを、「職業選択の自由」と言います。
つまり、「職場を辞める権利」とは、「職業選択の自由」ということになります。
そして、「職業選択の自由」は、“基本的人権”の一つとされています。
基本的人権とは、誰にも侵害されない、決して侵害してはならない、一人一人のもつ権利です。
基本的人権は、誰もが持つ「自然権」
「権利」といってもいろいろな種類があるのですが、基本的人権は、誰もが生まれながらにして持つ「自然権」の一種となります。
自然権というのは、誰かに与えられるのでも、認められるのでもなく、文字通り“自然に発生している”権利です。そしてこの権利は、一企業の就業規則や雇用契約などよりも、圧倒的に強力です。
国の作る法律や、国家間で結ぶ国際条約ですら、基本的人権を侵害することは絶対に許されません。
したがって、たとえどんなに大企業であっても、いかなる理由があっても、「自由に辞める権利=職業選択の自由」という基本的人権を、侵害することは認められないでしょう。
「辞めさせない会社」は憲法違反!?日本国憲法にも条文あり
「自由に仕事を辞める権利」は、言い換えれば、“職業選択の自由”となります。
また、「辞めさせない会社」は、嫌がる人をむりやり働かせることにもなります。
職業を選ぶ自由を守ること(職業選択の自由)
むりやり働かせてはいけないこと(奴隷的拘束の禁止)
こうした事は、日本国憲法にもしっかりと書かれています。
具体的には、次の2つになります。
日本国憲法第18条:奴隷的拘束の禁止
何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。日本国憲法第22条:職業選択の自由
何人も、公共の福祉に反しない限り、居住移転及び職業選択の自由を有する。
何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。出典:日本国憲法 – 衆議院
つまり、「辞めさせない会社」は憲法違反だと言うこともできるでしょう。
あくまで極端に言えば…という面もありますが、法的にはそのような主張も可能だと解釈する法律家も実際にいます。
少なくとも、「辞めさせない会社」よりも、「自由に辞める権利を持つあなた」のほうが、正当性が強いことがわかります。
あなたのほうが正当なのですから、「辞めるなら裁判だ」「損害賠償だ」といくら脅されても、動じることはありません。
国連にも守られている!「世界人権宣言」第23条1項
さらに強力な味方が、私たちに付いています。
1948年12月10日に第3回国連総会にて採択された、「世界人権宣言」です。
この条約の第23条1項で、職業選択の自由…つまり、自由に仕事を選び、自由に辞める権利が、明確に保障されています。
Article 23
(1)Everyone has the right to work, to free choice of employment, to just and favourable conditions of work and to protection against unemployment.(和訳)第二十三条一項 すべての人は、勤労し、職業を自由に選択し、公正かつ有利な勤労条件を確保し、及び失業に対する保護を受ける権利を有する。
出典:Universal Declaration of Human Rights – UNITED NATIONS(国際連合)
(Adopted and proclaimed by General Assembly.resolution 217A (III) of 10 December 1948.)
※和訳は当サイトによるものです
つまり、「会社を辞めたい」「もうこの職場で働きたくない」と思った時、会社側から何を言われようとも、“世界”があなたの味方についている…という事です。
仕事を辞めるのは「無責任」でも、「逃げ」でもない
さて、私たちの持つ「仕事を辞める権利=職業選択の自由」という権利が、いかに尊重されるべきものか、詳しく確認してきました。
ですが、「強力な権利があるから」といっても、まだ不安のある方も多いのではないでしょうか。
「つらいからといって、逃げてばかりでは良くないのでは?」
「自分が辞めたら、会社に迷惑を掛けてしまうのでは…」
しかし、これはどれも“会社側に都合のいい主張”を、刷り込まれてしまっているだけだと言えます。
「つらいからといって、逃げてばかりでは良くないのでは?」
⇒逃げるのではなく、戦う場所を変えるだけ…と考えてみましょう!
今の仕事を辞めて、自分がより有利に働ける場所、自分らしく働ける環境に身を移すことは、逃げではなく、「賢い選択」です。
「自分が辞めたら、会社に迷惑を掛けてしまうのでは…」
⇒辞められて困るような人材を大切にしなかった、会社の過失です!
辞められたら困る、損害が出てしまう…それほど重要な人材なら、会社はもっとあなたを大切にするべきです。
仮にあなたが会社を辞めて、本当に会社に損害が出たとしても、適切な人材マネジメントを怠った会社の過失であり、あなたの責任ではありません。
辞めさせない会社の言い分に騙されないで
ブラック企業は、従業員を“奴隷のように働かせるノウハウ”を豊富に持っています。もはや、その道のプロと言っても良いでしょう。
会社を辞めたい…と言ったとき、上司や会社側から、こんなことを言われなかったでしょうか?
「逃げるのか?ここで逃げたら、転職先でもまた逃げるぞ」
「自分勝手に辞めるなんて無責任だ」
「会社に損害が出る。迷惑をかけるのか」
…など。
一見もっともらしく聞こえる主張ですが、これこそが、従業員を“奴隷のように働かせるノウハウ”の一つです。
こうした会社側に都合のいい主張が、実際にはただの理不尽であることは、先ほどもお示しした通り。ですが、日々その場所で働いていると、どうしても、会社側に都合のいい理不尽に、気が付けなくなってしまいます。
だからこそ、冷静な第三者であり、退職のプロである“退職代行業者”に、間に入ってもらう必要があります。
今のあなたは、もしかしたら、ブラック企業の手口に乗せられて、自分自身を追い詰めてしまっているかもしれません。退職代行を活用して、理不尽なブラック企業を辞めて、本当にあなたらしい人生を始めてみましょう。